その中で、明らかに性格の異なる「災害」が発生しているのだが、殆ど報じられていない。
それは、JR豊肥線立野駅の北方の山腹から発生し、西北西から西、そして南西へと弧を描くように崩れた崩壊である。先端部において住宅を巻き込み、被害が出ている。
この崩壊の性格が他と異なるのは、下に示す地形図と崩壊後の空中写真で明らかなように、崩壊の発生とその激化に「人工構造物」である送水管と貯水施設の破壊が関与している点である。
この施設は、九州電力の黒川第一発電所の一部で、流量調整用の貯水槽に上流部から水を運ぶ導水管が接続、そして低位にある(狭義の)発電所に水を送る水圧管の出発点となっている施設と思われる。
地震直後の各社の空撮映像では、この施設が大破して大量の水が激しく流出(と言うより噴出)し、森林や土砂を押し流している様子がとらえられていた。筆者の手元には現在その映像がないが、毎日新聞が直撃を受けた被害者のインタビュー動画を公開している。
熊本地震:「川のように流れてきた」 土砂崩れ現場・南阿蘇
http://mainichi.jp/movie/?id=4849040569001
http://mainichi.jp/movie/?id=4849040569001
その後、水は止まっているが、これは単なる斜面崩壊ではなく、明らかに、施設破壊による「二次災害」であると考えられる。
「大規模自然災害」ー「発電所施設の破壊」ー「二次災害発生」というこの“災害”は、東京電力福島第一発電所で起きたものと、被害の「質」こそ違うものの共通の構造をもつと考えられる。
九州電力はどう対処するのだろうか。
これらの図版はいずれも、国土交通省国土地理院の「地理院地図」によるものである。
http://maps.gsi.go.jp/#12/32.880740/130.961151/&base=std&ls=std&disp=1&lcd=20160414kumamoto_0420suichokul01&vs=c1j0l0u0f0&d=vl
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